配偶者の不貞や交際の解消、私的なトラブルを書面で終わらせるとき、示談書や誓約書は「署名してもらえれば何とかなる」と考えられがちです。けれども、トラブルの日に書面を開くと、誰が誰に何を約束したのか、何が清算されて何が残っているのか、配偶者に求償が及ばないか、どこからが接触禁止の違反なのか、違約金はいくら請求できるのか、そもそもその約束に効力があるのかが問われます。このガイドでは、事務所が作成・改訂してきた示談書・誓約書・合意書・通知書をもとに、書面の種類と当事者の組み方から、事実確認、清算と留保、求償権の放棄、接触禁止、口外禁止、違約金、夫婦間の誓約書、効力の限界、離婚と養育費の公正証書、交際の解消、刑事事件になりうるトラブル、内容証明まで、条項ごとに整理しています。

不貞・交際の示談書を作りたい方

手書きの文字が書かれた紙の上の万年筆

誰が署名し、誰が誰に何を約束するかから組み立てる

不貞の示談書は、被害を受けた配偶者と相手方の二者で作るか、配偶者を加えた三者で作るかで、ほとんどの条項の書き方が変わります。配偶者が署名しない場合は、求償の条だけでなく、事実確認から清算まで組み替える必要があります。

事実確認は清算の範囲を決める物差しです。「本件」を期間で定義し、清算・求償・違約金の各条で同じ定義を使うことで、何が終わり何が残るのかを書面の上ではっきりさせます。

配偶者に負担を戻したくない方

窓の光が差す部屋の机と椅子

求償権の放棄と上限を、慰謝料の額より先に決める

不貞の相手方から慰謝料を受け取っても、相手方が配偶者に求償すれば、負担は家計に戻ってきます。求償権を持つのは相手方の側で、被害を受けた配偶者ではありません。

配偶者が署名する三者の書面なら求償権の放棄を、署名しない二者の書面なら、第三者のためにする契約と一部の免除を組み合わせた上限の設計を検討します。

接触や口外を止めたい方

暗がりの机に置かれたダイヤル式の黒電話

守る人・禁じる行為・違反にしない場面を書く

「一切接触しない」の1行では、SNSの反応や偶然の遭遇、相手からの連絡への応答が違反かどうかを決められません。保護の対象、禁止する行為、例外と免責をそろえて書きます。

口外禁止は、口外と投稿を分け、家族への相談などの例外を列挙します。写真やデータは、削除の約束だけでなく、確かめ方まで書いておきます。

夫婦で誓約書を交わす方

日の差すリビングのソファとダイニングテーブル

関係を立て直すための書面として作る

夫婦間の契約を婚姻中いつでも取り消せるとしていた民法754条は削除され、2026年4月1日に施行されました。誓約書には、削除された事実を確認する書き方をとります。

再発防止の約束は、外から確かめられる行為準則にし、違反したときの段階と、関係を立て直す出口を書きます。離婚や親権のように事前の約束で決められない事項は、意向と留保の形にします。

離婚・養育費を公正証書にしたい方

書類の上に置かれたホッチキス

強制執行できる形を前提に、協議書を整える

離婚協議書や養育費の合意は、私文書のままでは支払が止まっても直ちに強制執行できません(養育費は、2026年4月1日以後に生じた分について、先取特権による差押えの手続もあります。詳しくは離婚協議書・公正証書のページで扱います)。強制執行認諾の公正証書か、調停条項にする前提で書きます。

養育費は毎月の定額にし、額の定まらない約束は切り分けます。婚姻中に決めた条件を公正証書にする場合は、執行のために条件成就執行文が必要になります。

内容証明・通知書を送りたい方

クラフト紙の上に置かれた青い封筒と白いカード

ご本人の名前で、ご本人の意思を正確に伝える

不貞の相手方への請求、接触の自粛の要請、退会後の引落しの返金の請求など、示談書を交わす前に意思を伝えるのが通知書です。書く事実と書かない事実、期限、権利の留保を決めます。

差出人はご本人です。行政書士が関われるのは書面の作成と、使者としての発送の手続までで、相手方との交渉や代理はできません。

このガイドの解説ページ

よくあるご質問

誓約書と示談書は、どちらを作ればよいですか?

相手方にだけ約束してもらうなら差入れ型の誓約書、双方が約束して争いを終わらせるなら示談書です。相手方から「こちらにも口外しないと約束してほしい」と求められるような場面では、示談書の形にします。題名ではなく、誰が誰に何を約束するかで決めます。

配偶者が署名しなくても、不貞の相手方との示談書は作れますか?

作れます。被害を受けた配偶者と相手方の二者で作ります。ただし、配偶者の約束や配偶者との清算は書けないため、配偶者への求償を抑えたい場合は、第三者のためにする契約(民法537条)と一部の免除(民法519条)を組み合わせる方法を検討します。

夫婦間の誓約書は、後から取り消されてしまいませんか?

夫婦間の契約を婚姻中いつでも取り消せると定めていた民法754条は、令和6年法律第33号により削除され、2026年4月1日に施行されました。ただし、離婚に応じる約束や親権の事前の決定のように、そもそも効力が認められにくい約束もあります。

行政書士に、相手方との交渉もお願いできますか?

できません。行政書士がお手伝いできるのは、示談書・誓約書・通知書などの書面の作成と、ご本人の書面を使者として発送する手続までです。相手方との交渉や代理、ご本人に代わっての説明は行いません。

遠方でも依頼できますか?

全国対応です。ご相談から納品まで、公式LINEでのやり取りで完結します。納品はWord・PDFなどの形式でお渡しします。

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監修:アトラス行政書士法人(代表社員 荒木素子・特定行政書士) 最終確認日:2026年10月15日