このページの要点
- 物損と人身は、損害の種類も保険の仕組みも違う。書面の上でも分け、物損だけ先に示談するなら人身を含まない旨を書く。
- 運転者だけでなく、車の所有者や、仕事中の事故では勤務先を当事者に入れるかを決める。
- 示談の時点で予想できなかった後遺障害は、清算の対象外にするか、別途協議すると書く。
- 支払の完了を清算の条件にし、署名と支払の順序を決める。過失の割合や損害額の妥当性は、書面に書き込まない。
結論:物損と人身を書き分け、予想できなかった後遺症は清算から外し、支払の完了を清算の条件にする
交通事故の示談書は、事故の特定、損害の内訳と金額、支払の方法、清算の範囲の四つで組み立てます。保険を使わずに当事者どうしで示談するときに、とくに気をつけるのは次の三点です。一つ目は、車などの物の損害(物損)と、人の身体の損害(人身)を書き分けること。二つ目は、示談の時点で予想できなかった後遺症まで清算したことにならないよう、清算の範囲を決めておくこと。三つ目は、金額の支払が済んだことを、清算の条件にすることです。
このページが扱うのは、当事者の間で金額と支払の方法がまとまったあとに、その内容を書面にする作業です。過失の割合の判断、損害額の算定とその妥当性、保険会社との交渉、後遺障害の等級の認定は、このページでも事務所の業務としても扱いません。事務所の関わりは、ご本人の合意を正確に書面にすることと、その書面を使者として発送する手続までです。
事務所の書類による裏付けの範囲も、先に書いておきます。交通事故の示談書の書き方は、事務所の解説(物損と人身それぞれの示談書の基本)で扱ってきました。実際の書類としては、身体に損害が生じた別のトラブルについて、後遺障害を含む清算、現金での一括払い、受領証兼清算確認書、代理受領の委任状を備えた示談書を作成し、改訂しています。このページの条文例は、交通事故に合わせた一般的な書き方で、事務所の書類による裏付けがある部分は、そのつど示します。
- 物損と人身は、損害の種類も、請求できる相手も、保険の仕組みも違う。書面の上でも分ける。
- 運転者だけでなく、車の所有者や、仕事中の事故では勤務先を、当事者に入れるかを決める。
- 示談の時点で予想できなかった後遺症は、清算から外すか、別途協議すると書く。
- 支払の完了を条件に清算の効力を生じさせ、署名と支払の順序を決める。
事故の特定と、当事者を誰にするか
示談書の冒頭では、事故を特定します。事故の日時と場所、関係する車両(種類と登録番号)、当事者の氏名と住所を書き、事故の態様は「甲の運転する自動車と乙の運転する自動車が接触した」のように、事実を簡潔に書きます。原因や責任の割合の評価は、書面の本文には書きません。評価を書き込むと、金額の合意とは別の争点が書面の中に持ち込まれ、署名の段階で意見が割れることがあるからです。事故を日付と場所で定義しておくと、清算の条で「本件事故に関し」と書くときの範囲がはっきりします(事実確認・謝罪の条項のページで扱う、「本件」を定義して清算の範囲と一致させる考え方と同じです)。
次に、当事者です。運転者だけを当事者にすると、車の所有者や、仕事中の事故での勤務先への請求が書面の外に残ります。自動車損害賠償保障法3条は、自己のために自動車を運行の用に供する者(車の所有者など)が、その運行によって他人の生命または身体を害したときは損害を賠償する責任を負うと定めています。また、仕事中の事故では、ある事業のために他人を使用する者(勤務先)が、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う場合があります(民法715条1項)。示談書の相手方に、これらの人を入れるかどうかで、清算の相手が変わります。
交通事故の示談書の当事者(一例)
- 乙甲解決金(損害の賠償)の支払い
- 丙甲解決金の支払いを負う場合は、乙と一緒に約束する(連帯して支払う、または丙が支払うなど)
- 甲乙本件事故に関する請求をしない(清算)
- 甲丙丙を当事者に入れたときだけ、同じ清算を約束する
丙を当事者に入れないで甲と乙だけで示談すると、乙への請求は終わっても、丙への請求は書面の外に残ります。残したくない場合は、丙も署名します。
警察への届出も、書面に関わります。道路交通法72条1項は、交通事故があったときは、運転者が直ちに負傷者を救護して危険を防止し、警察官に事故の日時と場所、死傷者の数、負傷の程度、損壊した物とその程度、講じた措置を報告しなければならないと定めています。示談が成立しても、この報告の義務はなくなりません。示談書には、警察に届け出たか、届け出た日時を記載しておくと、あとで保険金の請求などに必要な書類を取るときの手がかりになります。交通事故証明書は自動車安全運転センターが交付するもので、国土交通省は、警察に届出をしていない事故については証明書が交付されないため、必ず警察へ届け出るよう案内しています。
ヒヤリングの問い 事故の特定と当事者を決めるために
事故の日時と場所、車両の種類と登録番号を、確認できる資料はありますか。
この問いで決まること冒頭の事故の特定が決まる。見積書や診断書の記載と食い違わせない。
事故を起こした車は、運転者の所有ですか。会社の車や借りた車ではありませんか。
この問いで決まること車の所有者や勤務先を当事者に入れるかが決まる。
被害を受けた車や物の持ち主は、被害者本人ですか。
この問いで決まること物損の請求権を持つ人に署名してもらうかが決まる。
警察に届け出ていますか。届け出た日はいつですか。
この問いで決まること届出の事実を書面に書くかが決まる。届出がまだなら、先に済ませる。
当事者に、未成年の方や、判断に付き添いが必要な方はいますか。
この問いで決まること法定代理人の署名や、代理受領の委任状が必要かが決まる。
物損の示談:内訳の書き方と、人身を残す清算
物損の示談では、損害の内訳を書きます。修理費、代車の費用、レッカーや保管の費用などの項目を、金額の合計だけでなく、項目ごとに書いておくと、何についての合意かが分かります。内訳を書かずに「解決金として○円」とだけ書くと、あとで「代車の費用は含まれていなかった」と食い違いが出ることがあります。
物損の内訳の書き方
| 項目 | 書き方 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 修理費 | 修理の見積書または請求書の金額を書く。修理工場に直接払うか、被害者に払うかを書く | 修理がまだ終わっていないときは、見積額で合意するのか、実際の額で精算するのかを決める |
| 代車の費用 | 代車を使った期間と、金額または上限を書く | 代車の期間が延びたときの扱い(延長分を含むか)を決める |
| レッカー・保管の費用 | 領収書のある実費を書く | 加害者側がすでに立て替えて払った分は、既払いとして書く |
| その他 | 積んでいた物、衣類、機器など、壊れた物を特定する | 物の特定と金額の根拠を、写真や見積書で残す |
評価損や、仕事に使う車を使えなかった期間の損害など、争いになりやすい項目は、解決金に含むのか、含まないのかを書きます。金額の妥当性は、このページでは判断しません。
物損と人身の違いは、保険の仕組みにも表れます。自動車損害賠償保障法3条が定めるのは「他人の生命又は身体を害したとき」の責任で、物の損害は対象外です。物損は、任意の保険に入っていればそちらで扱われ、入っていなければ当事者間で直接解決することになります。また、同法でいう自動車は、道路運送車両法の自動車と原動機付自転車で(2条1項)、自転車は含まれません。自転車に乗っていた人が自動車にけがをさせられたときは、その自動車について同法の仕組みが使えますが、自転車に乗っていた人が歩行者や他の自転車の人にけがをさせたときは、同法の仕組みの外で、当事者の間か、別の保険で処理されることになります。
事故の直後は、けがが出ていない、または軽いと思っていても、数日してから通院が始まることがあります。物損だけを先に示談するときは、その示談が人身の損害を含まないことを、書面に書いておきます。
物損の示談の清算(一般的な書き方の例)
甲及び乙は、本件事故により甲の車両に生じた物的損害について、乙が甲に対し、次の内訳による解決金を支払うことで合意する。
(1)修理費 円
(2)代車の費用 円
(3)レッカー及び保管の費用 円
甲は、前項の解決金の支払を受けたときは、本件事故による甲の車両に関する物的損害について、乙及び丙に対し、その他の請求をしない。
本示談は、本件事故による人身の損害を含まない。甲が本件事故により負傷した場合、その損害については、本示談の対象としない。
最後の項は、物損だけを先に示談するときの、人身の損害を残す一文です。人身の損害を含めて示談するときは、この項を外し、人身の項に清算を書きます。
人身の示談:損害の分け方と、治療中の清算
人身の示談では、損害の項目を、治療費、通院の交通費、休業による損害、慰謝料に分けて書く型と、「解決金」として一括する型があります。慰謝料は、身体を害されたことによる財産以外の損害の賠償で(民法710条)、金額の根拠を書面に書き込む必要はありません。一方、治療費や休業損害は、すでに支払った分と、これから発生する分を分けないと、後で二重に請求したのか、含まれていなかったのかが分からなくなります。
人身の損害の書き方の三つの型
| 型 | 書き方 | 向いている場面 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 項目別 | 治療費、通院の交通費、休業による損害、慰謝料を、項目ごとに金額で書く | 治療が終わり、費用の領収書がそろっている | 含めない項目(将来の治療費など)を書いておく |
| 一括の解決金 | 損害の全部をまとめた額を、解決金として書く | 当事者が、細かい内訳より、早く終わらせることを望んでいる | 何を含む額かを書く。含まない損害があればそれも書く |
| 暫定と精算 | 治療中に、これまでの費用と暫定の額を書き、治療の終了後に残りを精算する | 治療が続いていて、症状が定まっていない | 精算の時期と方法を書く。暫定の額で清算してしまわない |
加害者が病院に治療費を直接払っているときは、その額を既払いとして書き、解決金に含めるのか、別枠なのかを決めます。診断書や領収書は、書面に添付するか、書面に「添付資料」として一覧にして、金額の根拠を残します。
健康保険や労災保険を使って治療を受けたときは、注意が必要です。保険者は、給付事由が第三者の行為によって生じた場合に保険給付を行ったときは、その給付の価額の限度で、被害者が第三者に対して持つ損害賠償の請求権を取得します(健康保険法57条1項、労働者災害補償保険法12条の4第1項)。被害者が同じ事由について第三者から損害賠償を受けたときは、保険者が保険給付を行う責めを免れ、または給付をしないことができる場合もあります(健康保険法57条2項、労働者災害補償保険法12条の4第2項)。示談書に「一切の請求を放棄する」と書く前に、どの保険の給付を受けているかを確かめ、書面の清算の対象を整理します。
人身の損害の内訳(一般的な書き方の例)
乙は、本件事故により甲が負った傷害に関する損害の賠償として、甲に対し、次の内訳により解決金を支払う。
(1)治療費 円(うち、乙が医療機関に直接支払った分 円を含む。)
(2)通院のための交通費 円
(3)休業による損害 円
(4)慰謝料 円
前項の解決金は、甲が本示談の日までに負担した治療費及び本示談の日までの休業による損害を対象とする。将来の治療費は、本示談の対象としない。
「本示談の日まで」と書くのは、治療が続いている場合に、これからの治療費と休業を清算から外すためです。治療が終わっていれば、項目別の合計と、清算の範囲を一致させます。
子どもや、判断に付き添いが必要な方が被害者のときは、親などの法定代理人が当事者になります。受け取りを親が行う場合は、本人の委任状と、受領証兼清算確認書を用意します。事務所が扱った示談書でも、解決金の受領は本人が行い、第三者が受領する場合は、本人が作成した委任状を示す旨を書いていました。動物によるけがの場面でも同じ手当てが必要になるので、犬にかまれた・けがをさせたときの示談書のページを参照してください。
示談のあとに後遺症が出たとき:清算から外す書き方
示談の時点で想定していなかった後遺症が出る場合があります。人身の示談書で最も大きな問題は、この後遺症が示談で清算されたことになるのかどうかです。
示談書に「一切の請求を放棄する」と書いてあっても、示談の時点で当事者が予想していなかった後遺症による損害まで、その放棄の対象になるのかどうかが争われることがあります。この点は、書面の文言だけでなく、示談に至った事情や当事者の意思などから、最終的には裁判所が判断します。示談書の側から見ると、「何を終わらせる合意なのか」を書かないままにしておくと、後で範囲が争われる原因になります。
そこで、書面では、清算の範囲をあらかじめ決めておきます。示談の時点で予想できなかった後遺障害が生じたときの扱いを、清算から外すか、別途協議すると書く型です。
見比べ 後遺症の扱い(一般的な書き方)
清算の範囲
「本件事故に関する一切の請求を、将来にわたり放棄する」と書く。
「本示談の時点で予想できなかった後遺障害が生じたときは、その損害については、甲乙が誠実に協議する。」と書き、清算の対象外として明記する。
理由予想できなかった損害まで清算の対象かどうかは後で争われ得るため、書面側で範囲を決めておく。
再協議の期間
期間の定めなく「将来の協議に応じる」と書く。
後遺障害に関する協議の申出は、症状が定まった日から一定期間内に限る、と書く。
理由権利の行使には時効があり(人身の不法行為による損害賠償は、損害及び加害者を知った時から5年。民法724条の2)、協議の期間を決めておくと、双方の見通しが立つ。
示談後の後遺障害の扱い(一般的な書き方の例)
甲及び乙は、本示談の時点で予想できなかった後遺障害が甲に生じたときは、その損害については本示談の清算の対象外とし、甲乙が誠実に協議して定める。
前項の協議の申出は、甲の症状が定まった日から( )年以内に、書面でする。
前二項の定めは、本示談で定めた解決金の支払義務を妨げない。
期間の長さは、当事者が合意して決めます。このページでは、期間を示しません。
一方、当事者が「これで全部を終わらせたい」と希望するときは、後遺障害に関する損害まで包括的に清算する型もあります。事務所が扱った、身体に損害が生じた別のトラブルの示談書は、この型でした。治療費、通院の交通費、休業による損害、慰謝料、将来の治療費、後遺障害に関する損害など、名目の如何を問わず、一括の解決金に含めることを確認し、受領の際に、同じ内容を再度確認する受領証兼清算確認書を作っています。この型は、早く確実に終わらせたい当事者の希望に応えますが、被害者の側から見ると、治療の結果が分からない段階で将来の損害まで手放す約束になります。一括の額が、将来の損害まで含めた額として納得できるものかを、書面を作る前に確かめます。
後遺障害の有無や等級の判断は、示談書を作る側の役割ではなく、事務所も行いません。書面で決めるのは、その判断がされたときに、当事者がどう動くかという取り決めです。
請求の期間の目安(条文の定める期間)
| 権利 | 期間 | 条文 |
|---|---|---|
| 不法行為による損害賠償(人身以外) | 損害及び加害者を知った時から3年、または不法行為の時から20年 | 民法724条 |
| 人の生命・身体を害する不法行為による損害賠償 | 損害及び加害者を知った時から5年 | 民法724条の2 |
| 人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権(権利を行使できる時から) | 20年 | 民法167条 |
| 強制保険に対する被害者の請求 | 損害及び保有者を知った時から3年 | 自動車損害賠償保障法19条 |
民法の期間と、強制保険への請求の期間は、別に動きます。示談で協議の期間を決めるときは、どの請求の期間かを区別します。
保険との関係:強制保険、任意の保険、保険会社による示談代行
自動車は、強制保険(自動車損害賠償責任保険)の契約がなければ運行の用に供してはならないとされています(自動車損害賠償保障法5条)。人身の損害について、被害者は、保険会社に対し、保険金額の限度で、損害賠償額の支払を請求できます(同法16条1項)。保険会社は、死亡、後遺障害、傷害の別に定められた支払基準に従って支払います(同法16条の3)。この仕組みは、当事者間の示談とは別に動きます。示談書には、強制保険から支払われた(または支払われる)額を、解決金に含めるのか、別枠なのかを書いておきます。
任意の保険の示談代行がある場合は、保険会社が当事者の窓口になって交渉します。本ページが扱うのは、保険会社が関わらない、または関わっていても当事者間で示談書を作る場面です。保険契約の約款には、保険会社の同意を得ずに示談したときの扱いが書かれていることがあるので、示談書に署名する前に、約款を確かめます。事務所は、保険会社との交渉や、保険金の支払の可否の判断には関与しません。
保険と示談書の関係
| 場面 | 窓口 | 示談書に書くこと |
|---|---|---|
| 強制保険から支払いを受ける(人身) | 被害者が保険会社に請求する | 強制保険から支払われた額を、解決金に含めるか、別枠にするか。受領した額を書く |
| 任意の保険による示談代行がある | 保険会社が当事者の窓口になる | 示談書に署名する前に約款を確かめる。保険会社と別に当事者間で書面を作るときは、その旨と範囲を書く |
| 保険を使わない | 当事者が直接やり取りする | 支払の方法、清算の範囲、後遺症の扱いを書面で決める |
| 加害者が自転車や歩行者(自動車ではない) | 強制保険の外。当事者が直接、または別の保険で対応する | 人身の損害を含む場合は、後遺症の扱いを必ず書く |
支払と清算:一括・分割、署名との順序、刑事上の扱い
支払の型は、一括と分割です。一括払いで現金を手渡すときは、署名と支払を同時に行うと決め、受領証兼清算確認書を作ると、支払の完了と清算の範囲を再度確認できます。事務所が扱った示談書では、現金で一括払いし、署名押印と引換えに支払うこと、受領は本人が行い、第三者が受領する場合は委任状を示すこと、受領を正当な理由なく拒絶した場合は弁済の提供をしたものとみなすこと(弁済の提供の効果は民法492条)を書いています。分割払いの場合は、支払の完了を条件に清算の効力を生じさせ、分割の期限の利益を失わせる事由を決めます。詳しい書き方は解決金の受領確認と清算のページにあります。
示談書に違約金を置くときは、民法420条の賠償額の予定になります。予定とした額に加えて実際の損害も請求できるという書き方は、予定の趣旨と食い違うので、どちらかに揃えます(違約金の設計のページを参照)。
人身の事故では、刑事の手続が関わる場合があります。示談書に、被害者の許しの意思(宥恕)や被害届の扱いを書くときは、書面の条項の範囲にとどめ、捜査や処分の見通しは書きません。書き方は刑事事件・SNSのトラブルの示談書のページで扱っています。
署名の前に確かめること
- 事故の日時、場所、車両が特定されているか。
- 当事者に、車の所有者や勤務先を入れる必要がないか。
- 物損と人身が、別の項として書き分けられているか。
- 治療が終わっていない場合、将来の治療費と休業を、清算の対象外にしているか。
- 示談後に予想できなかった後遺障害が生じたときの扱いが書かれているか。
- 健康保険や労災保険から給付を受けた場合、その扱いを整理しているか。
- 強制保険から支払われた額が、解決金に含まれるのか別枠なのか書かれているか。
- 署名と支払の順序(同時か、支払の完了を条件にするか)が決まっているか。
交通事故の示談書で起きがちなこと
ご依頼で聞かれたこと
保険会社が示談を代行してくれる場合でも、当事者間で示談書を作れますか。
作れます。ただし、保険契約の約款に、保険会社の同意を得ずに示談したときの扱いが定められていることがあるので、署名の前に約款を確かめます。事務所は、保険会社との交渉や、保険金が支払われるかどうかの判断には関与しません。
示談のあとに後遺症が出たら、追加で請求できる書き方にできますか。
示談の時点で予想できなかった後遺障害が生じたときの扱いを、清算の対象外にするか、別途協議すると書く型があります。協議の申出の期間を決める書き方もあります。後遺障害があるかどうかの判断や、金額の算定は、事務所は行いません。
当事者間の示談は、金額と支払の方法がまとまったところから始まります。事故の特定、物損と人身の書き分け、後遺症の扱い、支払と清算の順序を一つずつ確かめてから、署名の日を迎えます。書面の種類の違いは書面の種類と当事者の組み方のページを参照してください。
よくあるご質問
保険を使わずに当事者間で示談するとき、示談書には何を書きますか?
事故の特定(日時、場所、車両、当事者)、損害の内訳と金額、支払の方法、清算の範囲の四つが基本です。物損と人身を書き分け、示談の時点で予想できなかった後遺障害の扱いと、署名と支払の順序を決めます。過失の割合や損害額の妥当性は、事務所は判断しません。
物損の示談を先にして、人身は後にしてもよいですか?
できます。その場合は、物損の示談が人身の損害を含まないことを、書面に書いておきます。事故の直後はけがが軽いと思っていても、数日してから通院が始まることがあるためです。
示談のあとで後遺症が出たらどうなりますか?
「一切の請求を放棄する」と書いてあっても、示談の時点で予想していなかった後遺症による損害まで放棄の対象になるかは争われることがあり、最終的には裁判所が、示談に至った事情や当事者の意思などを踏まえて判断します。そうならないよう、書面では、予想できなかった後遺障害を清算の対象外にするか、別途協議すると書き、範囲を決めておきます。
強制保険と示談書の関係はどうなりますか?
人身の損害について、被害者は保険会社に保険金額の限度で直接支払を請求できます(自動車損害賠償保障法16条1項)。この請求は、当事者間の示談とは別に動くので、示談書には、強制保険から支払われた額を解決金に含めるのか、別枠なのかを書いておきます。
警察に届け出なくても、示談はできますか?
示談書は作れますが、運転者の警察への報告義務は、示談では免れません(道路交通法72条1項)。交通事故証明書は自動車安全運転センターが交付するもので、国土交通省は、警察に届出をしていない事故については証明書が交付されないため、必ず警察へ届け出るよう案内しています。示談書には、届け出た事実を書いておきます。
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