このページの要点
- 内容証明が証明するのは、文書の内容と差し出した日付。内容の正しさや、相手方に届いた日は、内容証明だけでは分からない。
- 窓口では謄本に字数・行数の制限があり、同封できるのは文書1通のみ。e内容証明は専用の雛形に入力し、図・表・外字は使えない。
- 届いた日を残すなら配達証明を付ける。受取拒否や不在で戻ったときの手立てを、出す前に考えておく。
- 内容証明は催告にあたり、時効の完成を6か月猶予するだけで、更新するものではない。出す前に時効の期間を確かめる。
結論:内容証明は「何を書いたか」と「いつ出したか」を残す手続。出し方と出したあとの記録を先に決める
内容証明郵便は、どのような内容の文書を、いつ、誰から誰に差し出したかを、郵便局が証明する取扱いです。郵便法は、内容証明の取扱いでは、郵便局を運営する会社(郵便法でいう「会社」)が、郵便物の内容である文書の内容を証明すると定めています(郵便法48条1項)。証明されるのは文書の内容と差出しの日付であって、書いてある主張が正しいことや、相手方が読んだことまでは証明されません。この区別を知らないまま出すと、「内容証明を出したのだから、相手方も分かっているはず」という思い込みが生まれます。
このページは、通知書の中身ではなく、書面の形式と郵便の手続に絞ります。扱うのは、窓口で出す紙の内容証明の字数・行数と謄本、インターネットで出すe内容証明(電子内容証明)との違い、配達証明、相手方が受け取らなかったり不在で戻ったりしたとき、同じ通知を複数の相手に出すとき、出す前に確かめる時効の期間と出したあとに残す記録です。不貞の相手方への請求や接触自粛、消費者としての通知など、用件ごとの本文の組み立ては内容証明・通知書の作り方のページで扱っています。
事務所の書類では、同じ内容の通知書を、窓口に持参して差し出す版と、e内容証明で差し出す版の二つに作り分けた例があります。内容が同じでも、字数と行数の考え方、日付の入り方、使える文字や表の扱いが違うためです。出し方を決めてから原稿を整えるほうが、直しの回数が少なくなります。
- 窓口で出すか、e内容証明で出すかを先に決める。書式が違うため、決めてから原稿を整える。
- 字数・行数の制限があるのは、窓口で出すときの謄本。e内容証明は専用の雛形に入力する。
- 内容証明だけでは、相手方に届いた日は残らない。届いた日を残すなら配達証明を付ける。
- 受取拒否や不在で戻ることはある。戻ったあとの手立てを、出す前に考えておく。
書面はご本人の名義で出すものです。事務所が関わるのは、ご本人の意思を正確に書面にすることと、その書面を使者として発送する手続までで、相手方との交渉や説明は行いません。この点は、最後の節であらためて整理します。
内容証明が証明すること、証明しないこと
内容証明の取扱いでは、郵便認証司(総務大臣が、郵便局を運営する会社の使用人のうちから任命する者。郵便法59条)が認証を行います(郵便法48条2項、58条1号)。総務省令(郵便法施行規則14条1項)は、その認証の方法として、相手方に送る文書(内容文書)と、その内容を証明するために作られた謄本の内容が一致していることを確認すること、そして内容文書と謄本に、郵便物を差し出した年月日を記載することを定めています。つまり、内容証明が保証しているのは、「この内容の文書が、この日に差し出された」という二点です。
配達証明は別の取扱いです。郵便物を配達し、または交付した事実を証明するもの(郵便法47条)で、文書の内容は証明しません。意思表示は、その通知が相手方に到達した時から効力を生じます(民法97条1項)ので、解除や催告のように「到達」が問題になる通知では、内容証明で内容と差出日を残し、配達証明で届いた事実と日を残す、という組み合わせがよく使われます。
内容証明と配達証明で、残せること・残せないこと
| 取扱い | 残せること | 残せないこと |
|---|---|---|
| 内容証明 | どの内容の文書を、いつ差し出したか(文書の内容と差出しの日付) | 書かれた内容が正しいこと。文書が法的に有効であること。相手方に届いた日。相手方が読んだこと |
| 配達証明 | 郵便物を配達し、または交付した事実とその日 | 文書の内容。相手方が内容を理解したこと |
| 内容証明と配達証明の両方 | どの内容の文書が、いつ差し出され、いつ届いたか | 書かれた内容の正しさ。相手方が応じる義務を負うかどうか。相手方の承諾 |
どちらも「相手方が従う」ことを保証するものではありません。通知書で求めた内容に相手方が応じるかどうかは、別の問題です。
原稿を作る前に、事務所は次のようなことを伺います。通知の用件によって本文の組み立てが変わるだけでなく、出し方も変わるためです。
ヒヤリングの問い 出し方を決めるために
どのような用件の通知ですか。
この問いで決まること本文の組み立てと、配達証明を付けるべきかが決まる。解除・催告・請求のように到達の日が問題になるものは、配達証明を前提にする。
平日の日中に、郵便局の窓口へ行く時間はありますか。
この問いで決まること窓口で出すか、e内容証明で出すかが決まる。窓口は取扱う郵便局と曜日に限りがある。
同じ内容を何人に出しますか。
この問いで決まること同文の取扱いを使うか、相手ごとに書面を分けるかが決まる。
通知書に書く権利のうち、いちばん古いものはいつ生じましたか。
この問いで決まること時効の期間を出す前に確かめる必要があるかが決まる。
相手方が受け取らない、または不在で戻る可能性はありますか。
この問いで決まること戻ったあとに使う別の方法を、あらかじめ決めておくかが決まる。
窓口で出す紙の内容証明:字数・行数、謄本、訂正と契印
窓口で出すときに用意するのは、相手方に送る内容文書、内容文書の謄本2通(差出人の控えと郵便局の保存用)、差出人と受取人の住所氏名を書いた封筒です。郵便局の案内では、念のため差出人の印鑑を持参するよう勧められています。謄本は、内容文書と同じ内容を写したものですが、実際には、同じ文書をもう2部印刷して用意することが多いです。
字数と行数の制限があるのは、内容文書そのものではなく、謄本です。縦書きの場合は1行20字以内・1枚26行以内、横書きの場合は、1行20字以内・1枚26行以内、1行13字以内・1枚40行以内、1行26字以内・1枚20行以内の三つから選びます。いずれも1枚あたり最大で520字になる組合せです。内容文書と謄本の内容は一致していなければならない(郵便法施行規則14条1項)ので、制限のある謄本に合わせて、内容文書も同じ体裁で作ります。句読点や括弧、数字をどう数えるかは、郵便局の案内で確かめてから行を組みます。
窓口で出すときの謄本の字数・行数
| 書き方 | 1行の字数 | 1枚の行数 | 1枚の最大字数 |
|---|---|---|---|
| 縦書き | 20字以内 | 26行以内 | 520字 |
| 横書き(1) | 20字以内 | 26行以内 | 520字 |
| 横書き(2) | 13字以内 | 40行以内 | 520字 |
| 横書き(3) | 26字以内 | 20行以内 | 520字 |
謄本が2枚以上になるときは、つづり目に契印(ページのつなぎ目にまたがって押す印)を押します。
ほかにも、窓口の取扱いには決まりがあります。
- 内容文書は、文書1通のみを内容とすること。図面、返信用封筒、有価証券などを同封することはできません。証拠の写真や明細を同封したくても、同封はできないので、本文に「保管している資料の一覧」を書き、別に送る形にします。
- 郵便物は第一種郵便物(手紙)で、一般書留とすることが必要です。はがきは使えず、簡易書留にもできません。速達や配達証明は併用できます。
- 訂正するときは、訂正・挿入・削除した字数と箇所を、欄外か末尾の余白に記載して差出人の印を押します。訂正・削除した文字は、読める状態で残します。手間がかかるので、誤りに気づいたら書き直したほうが早く済みます。
- 取り扱う郵便局は、集配郵便局と支社が指定した郵便局に限られ、すべての郵便局で扱うわけではありません。一部の郵便局は特定の曜日だけ取り扱います。
- 差出人は、差し出した日から5年以内に限り、差出郵便局に保存された謄本の閲覧を請求できます。同じ期間内であれば、謄本を提出して再び証明を受けることもできます。
事務所の書類には、同じ通知書の窓口用の版があります。ジムを退会した後も引落しが続いた件で、返金を求める通知書を、窓口送付用とe内容証明用に分けて作りました。窓口送付用の版では、日付を記入し、1行の字数をそろえて折り返した体裁にして、謄本の制限に収まるかを確かめながら整えています。当初の案は、日付が「令和〇年〇月〇日」のままの、段落をそのままつないだ原稿でした。
見比べ 窓口で出す原稿の整え方(返金を求める通知書の例)
原稿の体裁
文章の区切りで改行するだけの、段落のままの原稿。
1行の字数をそろえて折り返した原稿。謄本の字数・行数に収まるかを確かめながら整える。
理由制限があるのは謄本だが、内容文書は謄本と同じ内容にする。最初から同じ体裁にしておくと、窓口で直す手間が減る。
日付
「令和〇年〇月〇日」のままの欄。
差し出す予定の日を記入する。
理由差出しの日付は郵便局の側でも記載される(郵便法施行規則14条1項2号)。文書の日付と食い違うと、読む人が迷う。
証拠の扱い
資料を本文の中に写して添える案。
保管している資料を項目で並べ、「現時点では添付しておりませんが、後日別途送付します」と書く。
理由同封できないので、存在を示す書き方にする。
e内容証明:電子データで出す
e内容証明(電子内容証明)は、専用のウェブサイトから、パソコンで作った文書を電子データのまま差し出す方法です。郵便局の案内によれば、利用には無料の利用登録が必要で、Wordで作った文書をアップロードし、差出人と宛先を入力します。支払いはクレジットカードか料金後納です。「差出」ボタンを押した日付が文書に印字され、正本は受取人へ、謄本は差出人へ、いずれも一般書留で配達されます。謄本は、電磁的な記録として1通につき5年間保存されます。
書式の考え方は、窓口とは違います。窓口は、1枚520字を基準に、謄本の字数・行数を揃えます。e内容証明は、郵便局の案内に謄本のような字数・行数の上限は示されておらず、指定の雛形にWordで入力します。文書は最大5枚までで、文字の大きさにも下限があります。図や表は使えず、JIS第1・第2水準の範囲外の文字(外字)も扱えません。氏名や住所に特殊な文字が含まれるときは、事前に雛形で入力できるかを確かめます。
窓口で出す場合とe内容証明の違い
| 項目 | 窓口 | e内容証明 |
|---|---|---|
| 差し出し方 | 郵便局の窓口に紙の書類を持参する | 専用ウェブサイトにログインし、Wordの文書をアップロードする |
| 用意するもの | 内容文書、謄本2通、封筒。差出人の印鑑 | 指定の雛形に入力した文書のファイル。利用登録 |
| 字数・行数 | 謄本に制限がある(1枚520字が基準) | 雛形に入力し、最大5枚。図・表・外字は使えない(字数・行数の上限は案内されていない) |
| 日付 | 郵便認証司が差出しの年月日を記載する | 「差出」を押した日付が文書に印字される |
| 謄本の保存 | 差出人と差出郵便局が、それぞれ紙の謄本を保存する | 1通を5年間、電磁的に保存する。差出人にも謄本が配達される |
| 向いている場面 | 窓口に行ける。紙の書類で控えを残したい | 窓口に行けない。同じ内容を多数の宛先へ出す |
料金は、枚数と付加サービスで変わります。差し出す時点の料金表で確かめてください。
事務所の書類では、e内容証明用の版を、窓口送付用の版とは別に作っています。同じ事案の通知書でも、窓口用は日付を記入した上で字数をそろえた体裁、e内容証明用は本文を段落のまま入力できる体裁と、体裁を分けた点が違います。e内容証明では、差出しの日付が文書に印字されるので、本文の日付欄を空欄のまま残す案と、記入する案のどちらを採るか、雛形で確かめてから決めます。
証拠資料の書き方(例)
本通知に関する以下の資料を保管しております。
(1)退会の意思を示した書面を投函したときの写真及び音声記録
(2)入会申込書の写し
(3)月額料金の引落しの記録(カードの利用明細)
(4)貴社から送信された利用規約の該当箇所
これらの資料は、現時点では本通知に添付しておりませんが、必要に応じて別途お送りします。
内容証明には資料を同封できません。窓口でもe内容証明でも、資料は存在を示して別送にします。資料の中身まで本文に書くかどうかは、相手方に開示してよい事実の範囲と合わせて決めます。
配達証明と、受取拒否・不在で戻ったとき
内容証明は、差出人、郵便局、受取人の三者の間を、次のように動きます。内容証明そのものは差出人と郵便局の間の関係で、相手方に届いたかどうかは、配達の段階の問題です。
内容証明郵便の流れと、残る記録
- 出局内容文書と謄本を提出する。謄本は郵便局と差出人が各1通を保存する
- 局受内容文書(正本)を、一般書留として配達する
- 局出配達証明を付けたときは、配達または交付した事実を知らせる証明が届く
- 受局受け取らない、または不在のときは、保管期間のあとに差出人へ返される
返された場合も、郵便物は差出人の手元に戻ります。返された事実と理由が書かれた封筒そのものが、記録になります。
配達証明は、郵便局が郵便物を配達し、または交付した事実を証明するものです(郵便法47条)。付けるのは差し出すときが基本ですが、一般書留として差し出した後、差し出した日から1年以内であれば、差出郵便局で付けることもできます。後から付けるときの加算料金は、差出しのときより高くなります。支払の期限を「到達の日の翌日から○日以内」と書くような通知書では、到達の日を確かな記録で残す必要があるので、配達証明を付ける前提にします。ただし、配達証明があっても、相手方が内容を読んだことまでは分かりません。
相手方が不在のときは、配達する側が不在連絡票を残して郵便物を保管します。保管期間は連絡票や郵便局の案内で確かめることができ、その期間に受け取られなければ、郵便物は差出人に返されます。相手方が受取りを拒んだときも、郵便物は差出人に返されます。差し出した後は、書留の追跡番号で配達の状況を見られるので、「いつ、どの状態か」を記録しておきます。
受取拒否や、保管期間が過ぎたことによる返送が、法律上の「到達」にあたるかどうかについては、条文が参考になります。民法97条2項は、相手方が正当な理由なく通知の到達を妨げたときは、その通知は通常到達すべきであった時に到達したものとみなす、と定めています。ただし、この条文がどの場面にあてはまるかは、相手方の事情や経緯によって評価が分かれ得るため、書面の側では、戻ったあとに別の方法でも届ける準備をしておくことが現実的です。
返ってきたときの手立て(選ぶのはご本人です)
| 手立て | 内容 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 内容証明を出し直す | 宛先の住所と氏名を確かめ直し、同じ文面で再度差し出す | 返送の理由(宛所に尋ねあたらない、受取りを拒んだ、保管期間が過ぎた等)を確かめ、同じ宛先に出すのか、宛先を変えるのかを決める |
| 受取りの署名を要しない方法で送る | 同じ文面を、普通郵便などポストへの配達で足りる方法で送る | 内容を証明する力は内容証明に及ばない。内容証明を出したこと自体は、謄本で残る |
| 直接届ける | 相手方に直接、書面を渡す | 相手方との接触になる。接触の禁止や距離を置く約束が関わる事案では避ける(接触禁止の条項のページを参照) |
返ってきた封筒は、開封せずにそのまま保管します。返送の理由と日付が書かれた封筒は、「出したが届かなかった」という事実を示す記録になります。事務所に発送を任せた場合も、返送された書面は、ご本人に引き渡します。戻った後の手立てを選ぶのは、ご本人です。
同じ通知を複数の相手に出すとき
内容証明は、受取人ごとに郵便物を用意するのが基本です。同じ内容の通知を複数の相手に出すときのための取扱いとして、窓口には同文内容証明があります。同時に2通以上、同一内容の内容文書を差し出す場合で、1通目は通常の加算料金、2通目以降は1通ごとにその半額になります。e内容証明にも、同じ文書を複数の宛先へ出す同文内容証明、複数の文書をまとめて出す一括差出し、宛先ごとに氏名や住所、金額などが異なる文書を最大100通まとめて出せる差込差出しがあります。
複数の相手に出すときに決めておくのは、次の三点です。
- 文面を同じにするか、相手ごとに変えるか。相手ごとに求めることが違う(金額、期限、責任の範囲が違う)ときは、同文の取扱いではなく、書面を分けます。事務所の書類にも、資格試験の受験料の請求について、二つの団体それぞれに宛てて別の書面にした例があります(内容証明・通知書の作り方のページを参照)。
- 期限をどう数えるか。「到達の日の翌日から○日以内」と書くと、相手ごとに届く日が違えば、期限の日も相手ごとに違います。全員に同じ日付を期限にしたいときは、日付で書きますが、到達が遅れた相手には、実際に考える時間が短くなります。
- 宛名の書き方。会社と、その代表者個人のように、立場の違う相手に出す場合は、宛名の表記(会社名、役職、氏名)が登記や契約書の表記と合っているかを確かめます。貸金の請求書面では、会社宛と代表者個人宛の2通を出す設計がありますが、このページは郵便の手続の側だけを扱います。
複数の相手方がいる事案では、一人に出した通知が、他の相手方に伝わることも考えます。不貞の相手方への通知書が、配偶者にも伝わる場面などがその例です。通知書の中に、通知があったことを第三者に伝えないよう求める一文を置くかどうかは、内容証明・通知書の作り方のページで扱っている本文の組み立ての問題です。
複数の相手に出す前に
- 相手ごとの宛名と住所が、契約書・登記・請求書の表記と合っているか。
- 全員に同じ文面で出してよいか。求める金額や期限が相手ごとに違わないか。
- 期限を「到達の日の翌日から」と数えるのか、日付で書くのか。
- 相手ごとに配達証明を付けるか。付けるなら、全員分を付けるか。
- 戻ってきた相手が出たときに、他の相手との足並みをどう整えるか。
出す前に確かめる時効の期間と、出したあとに残す記録
内容証明を出す前に、通知書で扱う権利の時効が近づいていないかを確かめます。内容証明を出すこと自体で時効が止まるわけではないからです。
時効の期間の確かめ方(一般の目安)
| 権利 | 期間 | 条文 |
|---|---|---|
| 契約に基づく金銭の請求など、一般の債権 | 権利を行使できると知った時から5年、または行使できる時から10年 | 民法166条1項 |
| 不法行為による損害賠償の請求権 | 損害及び加害者を知った時から3年、または不法行為の時から20年 | 民法724条 |
| 人の生命・身体を害する不法行為の損害賠償の請求権 | 損害及び加害者を知った時から5年 | 民法724条の2 |
| 人の生命・身体の侵害による損害賠償の請求権(債権の10年に代わる期間) | 権利を行使できる時から20年 | 民法167条 |
どの権利にどの期間が当てはまるかは、権利の発生の経緯によって決まります。上の表は条文の定める期間を並べたもので、個別の事案への当てはめではありません。
内容証明は、相手方に履行を求める通知(催告)にあたり得ます。催告があったときは、その時から6か月を経過するまでの間、時効は完成しません(民法150条1項)。ただし、これは時効の完成を6か月猶予するだけで、時効を新しく数え直す(更新)ものではありません。催告で猶予されている間に再度の催告をしても、さらに猶予されることはありません(同条2項)。裁判上の請求のように、権利が確定するまで時効の完成が猶予される手続(民法147条1項)とも別です。時効の完成が近い権利を含む通知書を出すときは、内容証明を出した日が、時効の問題を片づける日にならないことを、先に理解しておきます。
出したあとに残す記録も、あらかじめ決めておきます。内容証明は出すことよりも、出したことを後から示せることに意味があるからです。
出したあとに残す記録
- 窓口で出したときは、謄本(差出人の控え)と、受付時の控え。
- 配達証明を付けたときは、配達証明の通知(届いた日の記録)。
- 書留の追跡番号と、配達状況を確認した日時の記録。
- 返送されたときは、開封していない封筒(返送の理由と日付が書かれたもの)。
- e内容証明で出したときは、差出しの画面の控えと、謄本。謄本は5年間保存される。
- 相手方からの返事の原本(郵便、メール、メッセージの画面)。
差出人は、差し出した日から5年以内に限り、差出郵便局に保存された謄本の閲覧を請求できますが、これは手元の控えがなくなったときの、最後の手段です。手元の控えとスキャンしたデータを分けて保管しておくと、紛失に備えられます。
内容証明の形式と手続で起きがちなこと
書面の形式は、中身を支えるものです。通知書の本文とあわせて、窓口かe内容証明か、配達証明を付けるか、複数の相手に出すか、戻ったときにどうするかを、出す前に決めておきます。差出人はご本人の名前で、行政書士が行うのは書面の作成と、ご本人の書面を届ける使者としての発送の手続までで、到達した後の相手方とのやり取りは、ご本人が行います。通知書の後に、相手方との間で条件がまとまれば、示談書や合意書に進みます。書面の種類の違いは書面の種類と当事者の組み方のページで、消費者の立場から出す通知はクーリング・オフと契約の取消しの通知書のページで扱います。
よくあるご質問
内容証明郵便は、何を証明してくれるのですか?
どのような内容の文書を、いつ差し出したかです(郵便法48条)。書かれた内容が正しいことや、相手方が読んだこと、相手方に届いた日は、内容証明だけでは分かりません。届いた日を残すには、配達証明を付けます(郵便法47条)。
窓口で出すのと、e内容証明で出すのとでは、どちらが向いていますか?
窓口は、紙の書類で控えを残したい方、窓口に行ける方に向きます。謄本に字数・行数の制限があります。e内容証明は、窓口に行けない方や、同じ内容を複数の宛先へ出す方に向きます。専用の雛形にWordで入力し、図・表・外字は使えません。事務所の書類では、同じ内容の通知書を、窓口用とe内容証明用に作り分けた例があります。
相手方が受け取らず、戻ってきたらどうなりますか?
郵便物は差出人に返されます。受取拒否や保管期間経過による返送が法律上の到達にあたるかは、事情によって評価が分かれ得ます(民法97条2項)。そのため、戻った封筒を開封せずに保管し、内容証明を出し直す、受取りの署名を要しない方法で同じ文面を送るなど、別の方法でも届ける準備をします。選ぶのはご本人です。
同じ内容を、会社と代表者など複数の相手に出せますか?
出せます。窓口には、同時に2通以上、同一の内容で出す同文内容証明の取扱いがあり、e内容証明にも、同じ文書を複数の宛先へ出す取扱いがあります。ただし、相手ごとに求める金額や期限が違うときは、書面を分けます。
内容証明を出せば、時効は止まりますか?
止まりません。内容証明は催告にあたり得て、その時から6か月を経過するまで時効の完成が猶予されます(民法150条1項)。これは完成を猶予するだけで、時効を新しく数え直すものではなく、再度の催告で猶予が延びることもありません(同条2項)。時効の完成が近い権利が含まれるときは、出す前に期間を確かめます。
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